本とチョコと紅茶と…産まれた私を包んだ毛布
【本とチョコと紅茶と…】
この三つは、産まれ落ちた私を包(くる)んでいる毛布のようなものです。
何度もねだる私に、母は読み聞かせをしてくれました。
外出から帰ってきた母がくれたその甘いお菓子は、幼いながら世界で一番おいしいと思いました。
小学生陸上大会の練習にいくのに早起きができた私に、母はミッキーマウスのマグカップにたっぷりの温かい飲み物を淹れてくれました。
産まれてすぐ包まれた毛布のことはさすがによく覚えていないけど、でも小さいころからずっと、今でも私を温かく包んでくれているのは〈本〉〈チョコ〉〈紅茶〉を手渡してくれた母の愛情だと感じています。
◆筆者について
Twitterのハンドルネームはゆうぽん(@eupon017)百合アニメ好きの人です。
オンナノコがすきなオンナノコでもあります。
百合オタな話は引き続きTwitterで流していこうと思っています。
ここではハンドルネーム〈Tommy〉として下記のことをメインに書いていこうと思います。
◆大切な家族のことへの気持ちを留めておくため、blogをします。
言葉を綴りたい気持ちは、写真のようなものだと思います。
その瞬間を切り取りたい、一瞬の光を拾ってとどめたい。
時々言葉を書くとき、写真、もしくは標本を作っているような気持ちになります。
今回留めておきたくなったのは、大切な家族…母のことです。
◆珈琲の最後の1滴が落ちてから……妹の告白
「明日時間ある?京都に行くから、もしよかったらちょっとお茶でも」
珍しく唐突に妹の方からお誘いがあった。
珈琲が好きだというから、雑誌で見つけていた美味しい喫茶店に行ってみた。丁寧に最後の一滴を落とし込んだ珈琲。まずは鼻の先で香りを遊ばせて一口含み、そしてのどに残る余韻を楽しんでいた。すると妹が急にカップを置いてこちらをみた。
「お母さんね……お姉ちゃんには言ってないんだけど……」
「なんかあったの?」
「前からちょくちょく病院行ってるやん? あれね、ガンの治療なの」
”ガン”
この言葉がこんなにも、心に響かないものなのだと。
そのときは、重みや実感がなく、妹の前だから”お姉ちゃん”の私は平静を保つのに精いっぱいでした。
◆現在まででわかっているわずかなこと
長女である私に心配をかけまいと、母は私には打ち明けていなかったそうです。
そして妹や父親にもあまり心配させたくないため、ガンの詳しい状況は伝えず「ちゃんとお医者さんに行って治しているから」の一点張り。
――病人扱いされたくない、心配されたくない。
その気持ちはわかりますが、でも家族として詳細は知らせてほしい。
妹と父親が知っていることで聞き出せたことは、咽頭がんらしいということと、ステージは4ではないというこの2点です。
これからきちんと治療をして対応をしていくのに、家族である私たちがあまり多くを知らされない状況というのは、なかなかに堪えがたいもので苦心してます。大変な思いをしているのは母本人ということは承知していますが、娘である私も様々な思いがよぎるのです。
「おいしいご飯を一緒に食べたい」
「一緒にお茶をしたい」
「モーニングに行って、のんびりとした午前を過ごしたい」
日常生活でたくさん時間を重ねたいのはもちろん、他にも
「恋人を紹介したい」
「ウェディングドレス姿を見てほしい」
「孫の顔も見せられたらいいな」
……たくさんのこれからの出来事に、期限を付けなければならないような焦燥感があります。
まだ私は26歳。その母が”がん”であること。
唐突に知らされたことに、対応しきれずにいるためここに書くことにしました。
プライベートで私のことを知っている人は、どうかここだけの話として胸の中にとどめていただければありがたいです。
ここでは母との出来事を書くだけでなく、これからを考えるため、そして経験がある方と情報が交換でき、シェアできればと思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
こまめに更新していきますので、また覗きにきてください。
by:Tommy